「このまま課金すれば運気が上がる」などと言われ、占いサイトで高額な支払いをしてしまい、「もしかして詐欺かも?」と不安になっていませんか。結論からお伝えすると、占い詐欺で支払ったお金は、適切な手順を踏めば返金請求できる可能性があります。この記事では、占い詐欺の巧妙な手口や被害のセルフチェック方法を解説するとともに、弁護士が法的な根拠に基づき、返金請求の全手順を具体的に示します。返金に必要な証拠の集め方から、自力での対応が難しい場合の弁護士や消費生活センターといった無料相談窓口まで、あなたが今すぐ取るべき行動がすべて分かります。大切なお金を取り戻し、被害を解決するための一歩を踏み出しましょう。
まず確認 あなたが遭っているのは占い詐欺かもしれません
「この占いは本当に当たるのだろうか」「高額な料金を請求されたけど、これって普通なの?」占いサイトや対面鑑定を利用する中で、少しでもそんな疑念や不安を抱いたことはありませんか。近年、占い師を名乗る人物が言葉巧みに利用者を誘導し、高額な金銭をだまし取る「占い詐欺」の被害が急増しています。もしかしたら、あなたが今まさに受けているその鑑定も、巧妙に仕組まれた詐欺かもしれません。この章では、まずご自身の状況を客観的に把握するために、占い詐欺の典型的な手口や、健全な占いと詐欺を分ける境界線について詳しく解説します。
占い詐欺でよくある巧妙な手口
占い詐欺の加害者は、人の心の隙や悩みに付け込み、さまざまな手口で金銭をだまし取ろうとします。以下に挙げるのは、占い詐欺で頻繁に用いられる代表的な手口です。ご自身の経験と照らし合わせてみてください。
- 引き延ばし・ポイント課金型
占いサイトでよく見られる手口です。「鑑定の途中で中断すると運気が下がる」「あと少しであなたの望む未来が手に入る」などと言葉巧みに鑑定を引き延ばし、継続的にメッセージのやり取りをさせたり、高額なポイントを購入させたりします。 - 不安煽り・霊感商法型
「あなたには悪い霊がついている」「このままでは家族に不幸が訪れる」といった根拠のない話で利用者の不安を極限まで煽り、高額な除霊費用や祈祷料、運気が上がるという名目の商品を請求します。これは典型的な霊感商法の一種です。 - 劇場型・サクラ協力型
一人の占い師だけでなく、その弟子や他の利用者、運営スタッフを名乗る複数の人物(サクラ)が登場し、「この先生は本物だ」「先生のおかげで人生が変わった」などと口々に称賛します。組織ぐるみで特定の占い師の権威性を演出し、利用者を信じ込ませる巧妙な手口です。 - 特別扱い・優越感利用型
「あなたは特別な使命を持って生まれてきた」「あなたにしか救えない人がいる」などと、利用者だけが特別な存在であるかのように持ち上げ、優越感をくすぐります。その結果、高額な「特別な鑑定」や「修行」と称するサービスに誘導します。
占いと詐欺を分ける境界線とは
占いは、あくまで未来への助言や自己分析の一助となるものです。しかし、その一線を越えて利用者を欺き、不当に財産を奪う行為は「詐欺」に該当する可能性があります。では、その境界線はどこにあるのでしょうか。以下の表で比較してみましょう。
| 項目 | 健全な占い | 占い詐欺の可能性が高いケース |
|---|---|---|
| 目的 | 助言や気づきを与え、相談者の意思決定をサポートする。 | 相談者の不安を煽り、高額な金銭を支払わせることが目的。 |
| 結果の伝え方 | 可能性や傾向として示唆する。「こうすれば良くなるかもしれない」というアドバイスが中心。 | 「絶対に幸せになれる」「100%病気が治る」など、未来の結果を断定・保証する。 |
| 料金体系 | 時間や鑑定内容に応じて料金が明確に定められており、事前に提示される。 | 鑑定の引き延ばしや追加の祈祷などで、当初の説明なく次々と高額な追加料金を請求する。料金が社会通念上、著しく高額(数十万~数百万円)。 |
| 鑑定の終了 | 相談者が望めば、いつでも鑑定を終了できる。 | 「今やめると不幸になる」などと脅し、利用者の意思に反して鑑定を継続させようとする。 |
特に重要なのは、「未来の結果を断定的に保証する」「不安を煽って社会通念を逸脱した高額な金銭を要求する」という2点です。これらに該当する場合、単なる占いではなく詐欺である可能性が極めて高くなります。
占い詐欺被害に遭っているかセルフチェック
ご自身の状況が占い詐欺に該当する可能性があるか、以下の項目で確認してみましょう。
- 鑑定師から「あと少しで鑑定が終わる」と言われ、何度もポイント購入や支払いを繰り返している。
- 「このままでは不幸になる」「悪い因縁がある」などと、不安になる言葉を頻繁に言われる。
- 鑑定や祈祷、商品の代金として、合計で数十万円以上の高額な支払いをした。
- 鑑定師以外の人物(運営者や他の鑑定師など)からも連絡があり、特定の鑑定師を強く勧められた。
- 「あなただけは特別」と言われ、他の人にはない高額なプランを勧められた。
- 鑑定をやめたいと伝えたが、「今やめると状況が悪化する」と引き止められた。
- 宝くじの当選番号を教える、運命の人と必ず結ばれるなど、未来を断定・保証する言葉があった。
もし一つでも心当たりがあれば、注意が必要です。複数の項目に該当する場合、占い詐欺の被害に遭っている可能性が非常に高いと考えられます。一人で抱え込まず、冷静に次の行動を考えることが重要です。
占い詐欺の返金請求は可能?弁護士が解説する法的根拠
占いサイトや占い師に高額な料金を支払ってしまった後、「これは詐欺だったのでは?」と気づいたとき、多くの方が「支払ったお金はもう戻ってこない」と諦めてしまうかもしれません。しかし、結論から申し上げますと、占い詐欺によって支払ったお金は、法的な根拠に基づいて返金請求できる可能性が十分にあります。泣き寝入りする必要は決してありません。この章では、なぜ占い詐欺のお金を取り戻せるのか、その法的根拠と、請求に不可欠な証拠について弁護士が詳しく解説します。
なぜ占い詐欺のお金は返ってくるのか
占い行為そのものが直ちに違法となるわけではありません。しかし、占い師の言葉を信じ込ませて不当に高額な金銭を支払わせる行為は、法律に抵触する可能性が高く、それゆえに契約の取り消しや損害賠償請求が認められるのです。返金請求の主な法的根拠には、以下のものがあります。
| 法的根拠 | 内容 | 占い詐欺における適用例 |
|---|---|---|
| 消費者契約法 | 事業者の不適切な勧誘行為によって消費者が結んだ契約を取り消せる法律。 | 「このままだと不幸になる」「先祖の因縁を断ち切る必要がある」などと不安を煽って高額な祈祷や商品購入をさせた場合(不安を煽る告知)。「この鑑定を受ければ絶対に願いが叶う」などと断定的な表現で勧誘した場合(断定的判断の提供)。 |
| 民法(詐欺) | 相手を騙す行為(欺罔行為)によってなされた意思表示を取り消せる規定(民法第96条)。 | 占い師が霊能力など持っていないにもかかわらず、持っているかのように装い、意図的に騙してお金を支払わせた場合。詐欺の立証は容易ではありませんが、悪質なケースでは適用が検討されます。 |
| 民法(錯誤) | 契約内容の重要な部分について勘違い(錯誤)があった場合、その契約を取り消せる規定(民法第95条)。 | 「特別な鑑定」や「祈祷」に実際には何の効果もないのに、絶大な効果があると信じ込まされて契約してしまった場合。 |
| 民法(不法行為) | 故意または過失によって他人の権利や利益を違法に侵害した場合、その損害を賠償する責任を負う規定(民法第709条)。 | 占い師やサイト運営会社の行為が、社会的に許容される限度を超えた違法なものと評価される場合。支払った鑑定料や購入代金そのものが「損害」とみなされ、その賠償を請求できます。 |
これらの法律を根拠に、占い師や運営会社に対して「契約は無効・取消しであるため、支払った金銭を返還せよ」あるいは「不法行為によって生じた損害を賠償せよ」と主張していくことになります。
返金請求に必要不可欠な証拠とは
法的根拠を主張し、返金請求を成功させるためには、客観的な「証拠」が何よりも重要です。相手方が「そんなことは言っていない」「合意の上での契約だ」と反論してきた場合、証拠がなければ水掛け論になってしまいます。返金請求を考え始めたら、すぐにでも以下の証拠を収集・保全してください。
- 占い師やサイトとのやり取りの記録
メール、サイト内のメッセージ、LINEやチャットの履歴など、全てのテキストデータを保存しましょう。「運気が上がる」「不幸を回避できる」といった勧誘文句や、高額な課金を促すやり取りは特に重要です。可能であれば、スクリーンショットだけでなく、テキストデータとしても保存しておくと万全です。 - 支払いを証明するもの
クレジットカードの利用明細、銀行の振込履歴、コンビニ決済の領収書など、いつ、いくら、誰に支払ったかが分かるものは全て保管してください。支払い履歴は、被害額を確定させるための直接的な証拠となります。 - 占いサイトや運営会社の情報
占いサイトのURL、サイトのトップページや料金ページ、利用規約、特定商取引法に基づく表記などのスクリーンショットを保存します。特に、運営会社名、住所、代表者名、連絡先が記載されている「特定商取引法に基づく表記」は、請求相手を特定するために不可欠です。 - その他
占いサイトを知ったきっかけとなったWeb広告やSNSの投稿、鑑定結果の内容なども、相手方の悪質性を裏付ける証拠となり得ます。
これらの証拠が多ければ多いほど、交渉や法的手続きを有利に進めることができます。証拠が消されてしまう前に、確実に保存しておくことが返金への第一歩です。
【実践】占い詐欺の返金を求める全手順
占い詐欺の被害に気づいたら、冷静に、そして迅速に行動を起こすことが返金への第一歩です。ここでは、ご自身で返金を求めるための具体的な手順を3つのステップに分けて詳しく解説します。ただし、これらの手順はあくまでご自身で対応する場合のものです。少しでも不安を感じたり、相手の対応が悪質であったりする場合は、無理をせず速やかに専門家へ相談しましょう。
手順1 占い師や運営会社とのやり取りを証拠として保存する
返金請求を行う上で、何よりも重要になるのが「客観的な証拠」です。占い師やサイト運営会社が「そんなことは言っていない」「合意の上でのサービス提供だった」などと主張してきた場合、証拠がなければ詐欺行為を立証することが極めて困難になります。感情的になってアプリを消去したり、やり取りを削除したりする前に、必ず以下の証拠を保全してください。
| 証拠の種類 | 保存方法とポイント |
|---|---|
| 占い師とのやり取り | チャット、メール、LINEなどの全履歴をスクリーンショットまたはPDFで保存します。「このままだと不幸になる」「高額な祈祷をすれば運命が変わる」といった、不安を煽り高額課金へ誘導する文言は特に重要な証拠となります。 |
| 支払いに関する記録 | クレジットカードの利用明細、銀行振込の記録、コンビニ決済の控えなどをすべて保管します。いつ、いくら、どのサイトに支払ったのかを明確にすることが目的です。 |
| 相手方の情報 | 占いサイトのURL、運営会社名、所在地、電話番号、占い師のプロフィールページなどをスクリーンショットで保存します。特定商取引法に基づく表記は必ず確認・保存してください。 |
これらの証拠は、後の交渉や法的手続きにおいて、あなたの主張を裏付ける強力な武器となります。
手順2 内容証明郵便で返金請求書を送付する
証拠が揃ったら、次は占いサイトの運営会社に対して正式に返金を求める「返金請求書」を送付します。この際、普通郵便ではなく「内容証明郵便」を利用するのが一般的です。内容証明郵便とは、「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛に差し出したか」を日本郵便が証明してくれるサービスです。これにより、相手方に「請求書は届いていない」といった言い逃れをさせず、返金を請求したという事実を公的に証明できます。
返金請求書には、以下の内容を明確に記載しましょう。
- 通知書(タイトル)
- 通知日
- 相手方(運営会社名、代表者名、住所)
- 差出人(ご自身の氏名、住所、連絡先)
- 請求の趣旨(占いサービスが、不安を煽り高額な支払いをさせる詐欺的なものであり、支払った金員の返金を求める旨)
- 請求の根拠(消費者契約法第4条(不実告知・断定的判断の提供)や民法第96条(詐欺取消)、民法第709条(不法行為)などを根拠として挙げます)
- 請求金額(被害総額)
- 支払期限(例:「本書面到達後、1週間以内に」など)
- 振込先口座情報
- 期限内に支払いがない場合は法的措置を講じる旨
毅然とした態度で、支払いに応じない場合は訴訟も辞さないという強い意志を示すことが、相手を交渉のテーブルにつかせる上で効果的です。
手順3 相手方との交渉に臨む
内容証明郵便を送付すると、相手方から何らかの反応がある可能性が高いです。反応は主に「返金に応じる」「減額を提示してくる(和解交渉)」「無視・拒否する」の3パターンに分かれます。
相手方が交渉に応じてきた場合、特に注意が必要です。電話でのやり取りは必ず録音し、安易に口約束で済ませず、合意内容は必ず書面(和解契約書など)で取り交わしましょう。「示談金として一部を支払う代わりに、今後一切請求しない」といった内容の書面にサインを求められることもあります。一度サインしてしまうと、後から追加で請求したり、弁護士に依頼して争ったりすることが困難になる場合があります。
相手の言動に少しでも不審な点があったり、提示された和解条件に納得できなかったりした場合は、その場で即決せず「検討します」と伝え、一度持ち帰ることが賢明です。この段階で自力での解決が難しいと感じたら、次の手段として弁護士への相談を本格的に検討するタイミングと言えるでしょう。
自力での返金請求が難しい場合は弁護士へ相談を
内容証明郵便を送付しても占い師やサイト運営会社が返金に応じない、あるいは無視を決め込むケースは少なくありません。詐欺業者は、個人からの請求を甘く見て、高圧的な態度で言いくるめようとしたり、連絡を絶ったりすることが多いためです。このような状況で自力での交渉を続けることは、精神的にも時間的にも大きな負担となります。相手が交渉に応じない、返金額で揉めている、そもそも相手の対応が怖いと感じるなど、少しでも不安や困難を感じたら、法律の専門家である弁護士に相談することを強く推奨します。弁護士への相談は、被害回復に向けた最も確実な次の一手です。
弁護士に依頼する3つの大きなメリット
占い詐欺の返金請求を弁護士に依頼することには、個人で対応するのとは比較にならないほどの大きなメリットがあります。主なメリットを3つご紹介します。
メリット1:詐欺業者との交渉をすべて任せられる
弁護士に依頼すると、弁護士があなたの代理人として詐欺業者とのすべての交渉窓口となります。これにより、詐欺業者と直接やり取りする必要がなくなり、精神的なストレスから解放されます。被害について何度も説明したり、相手からの心無い言葉に傷ついたりすることなく、解決までのプロセスを冷静に見守ることができます。
メリット2:法的な根拠に基づき交渉を有利に進められる
弁護士は法律のプロフェッショナルです。詐欺罪、消費者契約法違反、不法行為といった法的な根拠を明確に示して返金請求を行うため、相手方は無視することができません。弁護士名で送付される通知書(受任通知)は、個人が送る内容証明郵便とは比較にならないほどの心理的プレッシャーを相手に与えます。これにより、交渉のテーブルに着かせ、返金額の増額など、有利な条件での解決が期待できます。
メリット3:交渉決裂後の訴訟(裁判)までスムーズに対応できる
万が一、交渉で解決しなかった場合、返金を求める最終手段として民事訴訟(裁判)を起こすことになります。個人で訴訟手続きを進めるのは非常に煩雑で困難ですが、弁護士に依頼していれば、交渉から訴訟まで一貫して対応を任せることが可能です。証拠の収集から訴状の作成、裁判所への出廷まで、すべての法的手続きを代行してくれるため、時間と手間を大幅に削減できます。
占い詐欺の返金請求にかかる弁護士費用
弁護士への依頼を検討する際に、最も気になるのが費用ではないでしょうか。弁護士費用は法律事務所によって異なりますが、一般的に「相談料」「着手金」「成功報酬」「実費」などで構成されています。近年、占い詐欺などの消費者被害については、被害者の負担を軽減するため、相談しやすいい料金体系を採用している事務所が増えています。
| 費用項目 | 費用の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 相談料 | 無料~1万円/時間 | 弁護士に法律相談をする際にかかる費用です。占い詐欺被害に関しては、初回相談を無料としている法律事務所が多数あります。 |
| 着手金 | 無料~被害額の5~10% | 弁護士に正式に依頼し、案件に着手してもらうために支払う費用です。返金の成否にかかわらず発生しますが、着手金無料の「完全成功報酬制」を採用している事務所もあります。 |
| 成功報酬 | 回収額の15~30% | 実際に返金が成功した場合に、回収できた金額の中から支払う費用です。全く返金されなかった場合は、基本的に発生しません。 |
| 実費 | 数千円~数万円程度 | 内容証明郵便の郵送費、訴訟を起こす場合の印紙代、交通費など、手続きを進める上で実際にかかった費用です。 |
まずは複数の法律事務所の無料相談を利用し、費用体系についてもしっかりと説明を受けてから、納得できる事務所に依頼することをおすすめします。
インサイト法律事務所の占い詐欺解決実績
インサイト法律事務所は、占い詐欺をはじめとするインターネット上の消費者トラブル解決を専門分野の一つとしています。私たちは、巧妙化する詐欺の手口を常に分析し、最新の判例や法改正にも精通した弁護士がチームで対応にあたります。全国各地から数多くのご相談をいただき、粘り強い交渉によって高額な被害金を取り戻してきた豊富な実績がございます。被害に遭われた方の多くは、「騙された自分が悪い」とご自身を責めてしまいがちですが、決してそのようなことはありません。私たちは、被害者の方の心に寄り添い、失われた金銭だけでなく、心の平穏を取り戻すお手伝いをすることも使命だと考えています。電話やオンラインでの面談にも対応しておりますので、遠方にお住まいの方でも安心してご相談ください。
占い詐欺について無料で相談できる公的窓口
弁護士への相談は費用面でハードルが高いと感じる方も少なくないでしょう。しかし、占い詐欺の被害に遭った際、無料で相談できる公的な窓口が存在します。これらの機関は、それぞれ異なる専門性を持ち、あなたの状況に応じたサポートを提供してくれます。一人で抱え込まず、まずは専門の相談員に話を聞いてもらうことが解決への第一歩です。
ここでは、占い詐欺の被害について相談できる代表的な3つの公的窓口について、その役割や利用方法を詳しく解説します。
消費生活センター(国民生活センター)
消費生活センターは、商品やサービスの契約に関するトラブルなど、消費者からの相談を専門に受け付けている行政機関です。占いサイトや占いアプリでの高額課金、不当な引き止めによる解約トラブルなどは、まさに消費者問題に該当します。
この窓口では、占い詐欺の巧妙な手口について情報提供を受けられるほか、今後の対応や返金交渉の方法について具体的なアドバイスをもらえます。事業者との話し合いで解決が難しい場合には、センターが間に入って交渉を仲介してくれる「あっせん」という手続きを利用できることも大きな特徴です。
相談は無料で、全国の市区町村に設置されている窓口へ電話や訪問で相談が可能です。どこに相談すればよいか分からない場合は、消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、最寄りの相談窓口を案内してくれます。
法テラス(日本司法支援センター)
法テラスは、国によって設立された、法的トラブルを解決するための総合案内所です。経済的な理由で弁護士や司法書士への相談をためらっている方のために、さまざまな支援を行っています。
占い詐欺の被害額が大きく、訴訟などの法的手続きを検討しているものの、弁護士費用がネックになっている場合に特に有効です。法テラスでは、問題解決に役立つ法制度や相談窓口の情報を無料で提供してくれます。さらに、収入や資産が一定の基準以下である場合、同じ問題を3回まで無料で法律相談が受けられる「民事法律扶助制度」を利用できます。
この制度を利用すれば、弁護士に依頼する際の着手金や実費などを立て替えてもらうことも可能です。まずはサポートダイヤルに電話をして、状況を説明することから始めましょう。
警察の相談専用窓口「#9110」
占い師の言動が単なる不当な請求にとどまらず、脅迫を伴うなど悪質性が極めて高く、詐欺罪や恐喝罪といった犯罪に該当する可能性がある場合は、警察に相談することも選択肢の一つです。
ただし、警察の役割はあくまで犯罪の捜査と犯人の検挙であり、民事上の返金請求を代行してくれるわけではありません(民事不介入の原則)。返金交渉そのものを目的とする場合は、消費生活センターや弁護士への相談が適切です。刑事事件としての立件を求める場合に利用を検討しましょう。
| 相談窓口 | 主な役割 | 特徴 | 相談方法 |
|---|---|---|---|
| 消費生活センター | 事業者との契約トラブル解決支援 | 返金交渉のアドバイスや、事業者との間に入る「あっせん」制度がある。 | 電話(消費者ホットライン「188」)または各地の窓口 |
| 法テラス | 経済的に困窮している人への法的支援 | 収入などの条件を満たせば、無料の法律相談や弁護士費用の立替え制度が利用できる。 | 電話(サポートダイヤル)または各地の事務所 |
| 警察 | 刑事事件に関する相談 | 詐欺罪など犯罪に該当する可能性がある場合に、被害届の提出などを相談できる。 | 電話(警察相談専用電話「#9110」) |
もう騙されない 占い詐欺を未然に防ぐための対策
占い詐欺の被害に遭うと、金銭的な損失だけでなく、精神的にも大きなダメージを受けてしまいます。一度支払ってしまったお金を取り戻すには、多大な労力と時間が必要です。最も重要なのは、そもそも詐欺被害に遭わないことです。ここでは、占い詐欺を未然に防ぐための具体的な対策について詳しく解説します。
怪しい占いサイトや占い師の見分け方
占い詐欺を働く悪質な業者には、いくつかの共通した特徴が見られます。以下のチェックリストを参考に、利用しようとしている占いサイトや占い師が安全かどうかを慎重に判断してください。一つでも当てはまる場合は、詐欺の可能性を疑いましょう。
| チェック項目 | 危険な兆候の具体例 |
|---|---|
| 広告・宣伝文句 | 「100%当たる」「あなたの運命を必ず変える」といった断定的な表現を使っている。 「有名人も利用」「雑誌で紹介された」など、裏付けの取れない実績をアピールしている。 |
| 料金体系 | 初回鑑定は無料や格安だが、その後「特別な祈祷」「波動修正」などの名目で高額な追加料金を請求される。 料金体系がサイト内に明記されておらず、鑑定後に法外な金額を提示される。 ポイント購入制で、金銭感覚を麻痺させようとする。 |
| 占い師とのやり取り | 「このままでは不幸になる」「ご先祖様の霊が苦しんでいる」などと相談者の不安を過度に煽り、高額な鑑定や商品の購入へ誘導する。 鑑定と無関係な家族構成や貯金額など、個人情報をしつこく聞き出そうとする。 |
| サイトの信頼性 | 運営会社の名称、住所、電話番号といった「特定商取引法に基づく表記」がない、または情報が虚偽である。 極端に良い口コミばかりが掲載されている(サクラの可能性があります)。 退会方法が分かりにくい、または退会手続きができない。 |
高額な課金を要求されたときの対処法
もし占い師から高額な料金や物品の購入を要求された場合、それは詐欺を強く疑うべき状況です。被害を最小限に食い止めるために、冷静に以下の対処法を実践してください。
まず最も大切なことは、相手の言葉を鵜呑みにせず、その場で支払いを即決しないことです。「今すぐ決断しないと手遅れになる」といった言葉は、冷静な判断力を奪うための常套句です。一度距離を置き、客観的に状況を見つめ直しましょう。
次に、支払いを求められても、きっぱりと支払いを拒否する勇気を持ってください。「検討します」といった曖昧な返事をすると、相手はさらに言葉巧みに説得を試み、断りきれない状況に追い込もうとします。不要なサービスや商品に対しては、明確に「払いません」「必要ありません」と伝えましょう。
それでもしつこく支払いを要求されたり、脅迫めいたことを言われたりした場合は、すぐに連絡を絶ってください。メールやチャットは無視し、着信拒否設定やサイトからの退会手続きを行いましょう。相手との接触を断つことが、被害の拡大を防ぐ上で不可欠です。一人で抱え込まず、家族や信頼できる友人に相談することも、冷静さを取り戻すために非常に有効です。
まとめ
本記事では、占い詐欺の巧妙な手口から、被害金の返金請求を行う具体的な手順、そして利用できる無料相談窓口までを網羅的に解説しました。不安を煽り高額な課金をさせる占い詐欺は、決して泣き寝入りする必要はありません。
占い詐欺による支払いは、詐欺や錯誤、消費者契約法違反などを根拠として、契約の取り消しや無効を主張し、返金を求めることが法的に可能です。そのためには、占い師やサイト運営者とのやり取りといった「証拠」を保全することが何よりも重要になります。
もし被害に遭ってしまったら、一人で抱え込まず、まずは消費生活センターや法テラスといった公的機関の無料相談窓口を利用しましょう。自力での交渉が困難な場合や、被害が高額に及んでいる場合は、速やかに弁護士へ相談することが、迅速な解決への最も確実な一歩となります。